3Dサウンド・立体音響の仕組み
お化け屋敷などに使われている特殊効果「3Dサウンド・立体音響」。なぜ近くにお化けがいるように思えるのか、その仕組みを考えてみましょう。
ちょっと想像してみてください。
真っ暗な部屋にいるとして、あなたの左側から話しかけられるとします。
例えば、クイズ番組の回答時にありそうな感じで、左耳にメガホンをつけてこっそり話してもらうと「左耳」のみにその声が聞こえます。
なので、「話している人」があなたの左側にいることがはっきりと分かります。
そして例えば、左側から話しかけられたときに「左耳」に耳栓をしたとしても、「右耳」からその音は回り込んで聞こえますね。
その聞こえてくる音の響きは、「話している人」があなたの右側ではないところから話していることが分かるでしょう。
このように、ざっくり言うと左右の耳から聞こえる音の大小で発生源となる音の場所を認識していっているのです。
逆に言えば、左右の耳で同時に「いい感じ」のバランスで音を聞いた場合、頭の中で音の発生源の場所を作り上げてしまうということです。
これが応用されているのが「3Dサウンド・立体音響」という仕組みです。
立体音響を作るときに「ダミーヘッド」と呼ばれる特殊なマイクを使います。
人間の頭の形をしていて、左右耳にあたる部分の中にマイクが仕込まれています。
これによって、人間が実際に左右の耳で聞いているのと同じバランスで録音することができるのです。
ダミーヘッドの周囲をまわりながら音を出すと、右耳のマイクと左耳のマイクがそれぞれの聞こえ方で録音されます。
それを、左右それぞれの耳だけに聞こえるように同時にヘッドホンで再生して聞くと、さきほどの聞こえ方が保たれた状態で耳に入ってくるので、あたかも今自分の周囲で何かが起きているよう錯覚して聞こえるのです。